会社設立の手続き

会社の形態(商号の種類)
商号の種類
事業開始は、経営計画や資金調達、営業等の準備を別にすれば、まず個人事業・合同会社・株式会社のいずれにするかの選択から始まります。事業の内容によっては一般社団法人設立という選択肢も出てきます。
どのような形態が適しているかは、状況や今後の見通しによって異なります。
一般的に株式会社の方が外部からの信頼性は高いですが、年間の維持費をはじめ設立費用は高くなります。
また、一定の規模を有しながら、株式会社の機関設置を避けたり、利益の柔軟な分配を目的とする等の理由であえて合同会社を選択する企業もあります。
比較項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
設立費用 | 約20~25万円 | 約6~10万円 |
意思決定 | 出資者が増えると複雑になる | 出資者全員の合意で柔軟に決定 |
信用力 | 高め(株式会社の方が信用を得やすい) | 低め |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
利益分配 | 原則株式(出資比率)の割合による | 出資比率に関係なく自由に決定可 |
社会保険 | 代表取締役も社会保険の加入義務あり | 代表者も社会保険の加入義務あり |
税制面 | 法人税適用(役員報酬設定や株主配当で節税可能) | 法人税適用(節税策の選択肢が少ない) |
事業の方向性と適した形態
事業の方向性 | 適した形態 |
---|---|
個人で小さく始めたい(低コスト) | 合同会社 |
共同経営で柔軟に利益分配したい | 合同会社 |
信頼を重視したい | 株式会社 |
融資を受けて事業を広げたい | 株式会社 |
企業と取引したい | 株式会社 |
小規模でシンプルに経営したい | 合同会社 |
定款の作成と登記
株式会社の設立には、まず定款を作成する必要があります。定款は会社名や目的、所在地、発行する株式の数、取締役や監査役の構成など、会社の基本的な情報を記載し公証人役場で認証を受ける必要があります。
その後、資本金を払い込み、法務局に設立登記の申請を行います。登記には、定款認証書、資本金の払込証明書などの書類が必要です。登記完了で会社設立となります。
決算と税務申告
株式会社は毎年決算を行い、決算書類を税務署に提出します。決算は通常、事業年度の終了後2ヶ月以内に行う必要があり、決算書類には、貸借対照表、損益計算書などが含まれます。
納税は、法人税、消費税、地方税などですが、社会保険料の納付と、従業員を雇っている場合には労働保険の納付も必要となります。
合同会社設立流れ
合同会社(LLC)は、株式会社に比べて設立手続きが簡単で、設立にかかるコストもやや抑えられます。
設立にあたっては、株式会社と同様に定款の作成が必要ですが、公証人役場での定款認証は不要です。そのため、準備にかかる手間と費用を軽減できます。
設立登記を法務局で行う際には、定款、出資金の払込証明書、社員の就任承諾書などの提出が求められます。これらの書類が整っていれば、比較的スムーズに法人登記を完了させることが可能です。
また、合同会社も株式会社と同様に法人税の課税対象となり、毎期ごとの決算も必要です。作成する決算書類には、貸借対照表、損益計算書、社員総会の議事録などが含まれます。さらに、法人住民税として毎年最低7万円が発生します。
設立後のランニングコストについては、少人数で運営する場合、株式会社とほぼ同等となります。
- 事業計画書作成
- 補助金申請・創業融資の検討
- 物件の下見や契約・備品等の準備
- 会計ソフトや請求書ひな形を作成
- 定款を作成
- 個人用印鑑の印鑑登録
- 法人用印鑑の作成
- 定款の認証(株式会社のみ)
- 銀行口座に資本金払い込み
- 法務局で登記申請(オンライン可)
- (必要な場合は)警察・保健所・消防署への届け出

事業計画から登記まで
事業計画書の重要性
会社を設立する際に、まず最初に行うのが事業計画書の作成です。
事業計画書は、銀行融資や補助金の申請、新規取引先との信頼関係の構築など、将来的な対外説明の場面で重要な役割を果たします。
特に、創業融資や助成金の申請時には、売上予測や市場分析など、具体的で根拠のある数値が求められるため、事業の内容によっては数十ページを超える内容になります。
説得力のある事業計画書を作成することで、金融機関や関係機関からの信頼を得やすくなります。
項目 | ポイント | 構成比率(目安) |
---|---|---|
ビジネス概要 | 目的・対象マーケット・プロダクトの価値 | 15〜20% |
マーケット調査 | マーケットサイズ・競合・成長の見込み | 25〜30% |
売上計画 | 創業時から概ね3年先までの成長予測 | 25〜30% |
資金調達計画 | 自己資金額と調達手段・運転資金の見込み | 10〜15% |
運営体制 | 業務のオペレーション・外部連携の有無 | 5〜15% |
定款の役割
会社を人に例えると、定款はその人の「プロフィール」や「価値観」、さらには「行動ルール」を定めたものです。
具体的には、次のように例えることができます。
・会社名=人の名前
・本店所在地=住民票の住所
・目的=人生の目標や活動方針
・機関設計(取締役会など)=性格・意思決定の仕組み
・株式に関する規定=財産や信頼の扱い方
このように、定款は会社がどのような「人間」であり、何をしていくかを社会に対して約束し、公開する重要な文書です。
登記の役割
会社を法的に存在させるために必要なのが「登記」の手続きです。登記は、作成した定款や必要書類をもとに法務局で行い、会社を「法人という人として誕生させる」手続きです。
登記が完了するまで、会社は法律上存在しないものとみなされます。法人登記は、自然人の出生届のようなもので、提出した日がその会社の「設立日」として記録されます。
登記が完了すると、「登記事項証明書」や「法人印鑑証明書」が取得できるようになり、それにより銀行口座の開設や契約行為が可能となります。

定款の作成手順
定款を作成する第一歩は、会社の「基本構造」を明確に設計することです。
法人名(商号)、事業目的、本店所在地、資本金、発起人など、事業の設計図となる要素を確定させることが必要です。
たとえば、事業目的を定める際には、将来的な事業展開を見越して柔軟性を持たせた表現を選ぶことが一般的です。しかし、あまりにも曖昧すぎる表現だと、登記申請で却下される可能性があります。登記簿は事業を行っていく中で何度も外部に閲覧されるものになる為、極力実態に即した内容に近づけるのが望ましいです。
定款には法律上記載が義務づけられている「絶対的記載事項」のほか、任意で記載できる「相対的記載事項」「任意的記載事項」があります。
分類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
絶対的記載事項 | 必ず定款に記載しなければならない内容 | 商号、目的、本店所在地、設立に関する事項 |
相対的記載事項 | 記載しなければ効力が生じないが、任意 | 現物出資、発起人の報酬 |
任意的記載事項 | 効力とは無関係だが参考として記載可 | 公告方法、決算期 |
電子定款
定款は紙ベースまたは電子定款として作成できます。電子定款ですと印紙税(4万円)が不要となります。電子定款を作成する場合、PDFファイルへの電子署名が必要であるほか、事前準備としてICカードリーダーや電子証明書付きマイナンバーカードが必要になります。
電子申請とはいえ、不明点は公証役場に電話で問い合わせをすればある程度教えてもらえます。
ステップ1:定款の作成
会社の基本情報(商号、目的、本店所在地、出資額など)をWordなどで作成します。雛形を使うとスムーズです。
ステップ2:PDF化
作成した定款をPDF形式に変換し、「編集不可」の状態で保存します。
ステップ3:電子署名を付ける
マイナンバーカードとICカードリーダーを使って、Adobe Acrobat(体験版でも可能)などでPDFに電子署名を付けます。
ステップ4:公証役場に提出
公証役場に事前連絡の上、電子定款(PDF)を提出します。メールまたは登記・供託オンライン申請システムを使用します。
ステップ5:定款の認証
公証人による認証が行われ、電子署名付きの定款が返却されます(USBやメールで)。
ステップ6:登記申請
認証済みの電子定款(プリントしたものでも可)を添付し、法務局に会社設立の登記申請を行います。

払い込み証明書
払い込み証明書=銀行への振込証明
払い込み証明者は株式会社登記に必須の書類で、設立時の代表者個人名義の銀行口座に、お金(出資額)を振り込んだ事を証明するものになります。
ここで振り込んだ出資額がいわゆる資本金となります。この際の入金状況は、通帳の表紙・表紙裏・入金記録のコピーで証明します。通帳がないネット銀行を使用する場合は、取引明細画面のスクリーンショットなどでも代用可能ですが、内容が明確に記載されている必要があります。
すべての書類が揃ったら、会社の本店所在地を管轄する法務局に登記申請を行います。申請方法には、直接持参、郵送、またはオンライン申請(登記ねっと)があります。申請日が会社の「設立日」となりますので、設立日を意識して逆算して準備を進めることが重要です。登記の申請が受理されると、補正がなければ1週間ほどで完了通知が届きます。
書類名 | 提出形式 | 備考 |
---|---|---|
登記申請書 | 紙 or 電子 | 設立日・代表者・資本金額などを記載 |
定款の謄本 | 紙 or 電子 | 公証人認証済のもの |
払込証明書 | 紙 | 通帳コピー添付 |
印鑑届書 | 紙 | 会社実印の届出用 |
登記完了後
登記が完了すると、「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」と「会社印鑑証明書」を取得できるようになります。この2つは、銀行口座開設や各種行政手続き、取引先との契約などに必要となります。会社印鑑証明書の取得は法務局での窓口申請またはオンライン申請の方法があり、会社代表印を登録した際の印鑑カードが必要です。
登記完了で法人が成立しますが、そのあとに、税務署や都道府県税事務所、市区町村などへ「法人設立届出書」の提出が必要です。また、社会保険の適用手続きや労働保険の届出、許認可の取得などの手続きも必要に応じて行っていきます。

設立後に行う手続き
法人設立届
会社の登記が完了すると、税務署および都道府県税事務所、市区町村へ「法人設立届出書」の提出が求められます。国税と地方税それぞれで様式が異なるため注意が必要です。通常は設立から2か月以内に提出する必要があり、定款の写し、登記事項証明書、印鑑証明書などを一緒に提出します。
従業員や役員に給与を支払う予定がある場合、税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出し、源泉徴収義務者として登録する必要があります。この際、同時に「納期の特例申請書」も提出することで、納税頻度を年2回に減らすことができます(通常は毎月)。
社会保険と労働保険
法人は、代表者1人でも「健康保険」「厚生年金」への加入が義務づけられています。また、従業員を1人でも雇用した場合は、「労災保険」「雇用保険」にも加入する必要があります。これらの手続きは、所管の年金事務所(日本年金機構)および労働基準監督署・ハローワークを通じて行います。
手続き内容 | 提出期限 | 提出先 |
---|---|---|
健康保険・厚生年金 加入 | 設立日から5日以内 | 年金事務所 |
労災保険 加入 | 雇用開始から10日以内 | 労働基準監督署 |
雇用保険 加入 | 雇用開始から10日以内 | ハローワーク |
法人名義の銀行口座は、登記完了後に開設申請が可能になります。多くの金融機関では、登記事項証明書、定款、代表者の身分証明書などの提出や提示を求めます。まれにですが、業種によっては事業内容の詳細を求められることもあるため、簡潔な事業計画やウェブサイトなど、信用補完資料も整えておくとスムーズです。口座開設までに1週間程度かかることもあります。各手続きが完了すると、ようやく法人としての活動が本格的にスタートできます。
代表的な許認可申請

許認可取得の概要
許認可申請の準備
営業許認可を取得するための手続きの内容や難易度は、業種ごとに異なります。
一般的な流れとしては、まず行政機関への事前相談を行い、その後に必要書類の準備、申請書類の提出、そして審査というステップを踏みます。
飲食業や理美容業などののように、施設や設備が整っていなければ申請できない業種もあります。また、建設業などでは特定の資格を持つ人材の確保が必要となり、産業廃棄物処理業など一部業種では一定額以上の資本金が求められることもあります。
事業の許認可取得には、業種ごとの要件や準備事項があるため、事業開始前の段階から、許認可申請のスケジュールや資金面の予定を立てておく必要があります。
人的要件・物的要件・経営の安定性
許認可申請にはさまざまな種類がありますが、審査を行う行政機関は、いずれの申請においても共通して次の点を確認しようとしています。
それは、事業の人的要件・物的要件・経営の安定性です。具体的には、必要な資格や経験を持った人材が確保されているか、法令に適合した事業所や設備が整っているか、そして安定的に事業を続けられる資金力や経営体制があるかといった点がチェックされます。
これら要件の、どの部分に重きが置かれるかは業種の内容によって異なります。例えば、建設業の許可においては、技術と安全を確保する人的要件と、長期的な工事を行える経営の安定性(資金力)が問われ、飲食業においては衛生面を維持できる設備等の物的要件が主に問われます。
要件 | 概要 | 主な確認ポイント |
---|---|---|
人的要件 (適切な人材・資格の有無) |
責任者や専任技術者など、事業を適正に運営するための人材が適切に配置されているかを確認されます。 |
・必要な国家資格や業務経験を持つ人物がいるか(例:建設業では専任技術者) ・営業所ごとに責任者が常駐しているか ・過去に法令違反などがないか(欠格事由の確認) |
物的要件 (事業所・設備・場所の適合性) |
事業を行う物件や設備が、法令や業種ごとの基準に適合しているかを確認されます。 |
・衛生面・構造面の基準に合致しているか(例:飲食業、理美容業) ・設備が十分に整っているか(例:産業廃棄物処理業) ・用途地域、都市計画法、消防法などに違反していないか |
資金・経営体制の安定性 (経営基盤) |
資金力や組織体制など、継続的な運営が可能かどうかが確認されます。 |
・資本金・自己資金が一定額以上あるか(例:建設業の経営事項審査) ・財務諸表や直近の収支実績などから経営の健全性が確認できるか ・事業計画や組織体制が整っているか |

建設業許可
受注額と許可の必要性
建設業許可は、一定規模(金額)以上の建設工事を請け負う際に必要とされるます。国(地方整備局)や都道府県(県庁の県土整備局や都市整備局)からの営業許可です。
許可の必要性や許可の届け出先は、受注金額や、事務所の所在地によって変わってきます。
金額の要件は「1件あたり」で判断されるため、たとえ工期が長期にわたる場合でも、1件として扱う工事で請負金額が500万円(税込)以上となる場合は、建設業の許可が必要です。
項目 | 詳細 |
---|---|
許可が必要な請負金額 | ・建築一式工事:1件の請負額が1,500万円以上 ・建築一式工事(延べ面積150㎡超・木造住宅):規模にかかわらず許可が必要 ・その他の工事:1件の請負額が500万円以上(消費税込) |
無許可で可能な工事 | ・建築一式工事:1,500万円未満、かつ木造住宅で延べ面積150㎡以下 ・その他の工事:500万円未満の請負工事 |
許可の種類 | ・知事許可:営業所が1つの都道府県内にしかない場合 ・大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所がある場合 |
営業所の定義 | ・契約締結の権限がある事務所(単なる連絡所は含まない) ・従業員が常駐していることが必要 |
主な許可業種(内装業の場合) | ・内装仕上工事業(軽鉄、クロス、床張りなど) ・該当する場合は、業種追加も可能 |
許可の有効期間 | ・5年間(更新手続きが必要) |
建設業許可に必要な人的要件
建設業許可の法的要件と代表的業種 | |
---|---|
主な法的要件 |
・経営業務の管理責任者(経管) ・専任技術者(専技) ・誠実性の確保 ・財産的基礎の有無(資本金・自己資本など) ・欠格要件に該当しないこと(前科、反社会的勢力との関係等) |
経管・専技の条件 |
・経管:5年以上の経営業務経験が原則 ・専技:10年以上の実務経験 または 国家資格の保有(例:一級施工管理技士) ・中小企業では、代表者が経管と専技を兼任するケースも多い |
代表的な建設業5業種(全29業種の一部) |
・建築一式工事業 ・内装仕上工事業 ・電気工事業 ・管工事業(空調・給排水など) ・土木一式工事業 |
人的要件|経管と専技
建設業の許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。一般建設業許可の申請では、経営の安定性を示すために、自己資本(貸借対照表の総資産から総負債を差し引いた純資産)が500万円以上あることが求められます。
また、人的要件としては、会社の経営や財務を統括できる「経営業務の管理責任者(経管)」、および実際の施工に関する専門的知識と経験を有する「専任技術者(専技)」が、営業所に常勤で在籍している必要があります。
いずれも、自社内に適切な人材を配置しておくことが必要で、他社との兼任は認められておりません。
- 許可を受けようとする業種に関して、5年以上の経営業務の管理経験があること
- または、他の法人の役員などとして7年以上の経験があり、その法人が適切に建設業を営んでいたこと
- 原則として、法人では役員、個人事業では事業主本人が対象
- 代表者本人が経管を兼ねる事も可能
- 申請する業種に関して、10年以上の実務経験があること(学歴により短縮可)
- または、該当する国家資格(例:一級施工管理技士、技術士など)を有していること
- 営業所ごとに1名以上の常勤者の配置が必要
- 経管と専技を1人で兼任することも可能
建設業許可の申請書類
建設業許可の申請は、「申請書」と「添付書類」の2つで構成します。
申請書には、会社名、所在地、代表者名、従業員の氏名や役職など、企業の基本情報を記載します。
また、登記簿謄本、住民票、資格証明書、在職証明書などを添付することで、会社や従業員の情報が正確であることが証明され、申請内容の整合性が保たれます。
東京都庁や各都道府県庁では、建設業許可に関する相談窓口が設けられており、申請書類の作成に関する無料の電話相談が可能です。
分類 | 書類名 | 補足内容 |
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申請書一式 (様式第1号) |
建設業許可申請書 | 基本情報の記載 |
役員等の一覧表 | 役職や氏名などの記載 | |
営業所一覧表 | 営業所の所在地・規模など | |
使用人数 | 従業員の人数 | |
誓約書 | 法令順守に関する誓約 | |
事業年度終了報告書 | 法人のみ対象 | |
経営業務の管理責任者に関する書類 | 経営経験を証明する書類 | 確定申告書、登記簿謄本、契約書など |
在職証明書・役員就任証明書 | 職歴の証明 | |
専任技術者に関する書類 | 資格証明書 | 免許証、卒業証明書、実務経験証明書など |
雇用証明書 | 在職証明書、健康保険証など | |
財産的基礎を有することを証する書類 | 納税証明書 | 税務署等の発行 |
残高証明書または預金通帳のコピー | 金融機関からの証明 | |
貸借対照表、損益計算書 | 法人の場合 | |
営業所の所在を確認する書類 | 賃貸契約書や登記簿謄本 | 所在地の証明 |
事務所の写真 | 外観・内観 | |
法人・個人の資格に関する書類 | 商業登記簿謄本 | 法人の場合 |
住民票や身分証明書 | 個人の場合 | |
業種に応じた追加書類 | 補足資料 | 各業種の実績や要件に応じて提出 |

飲食店営業許可(居酒屋)
営業許可の必要性と申請先
飲食店(居酒屋を含む)を営業するためには、物的要件として、保健所からの「飲食店営業許可」と消防署の検査を、また人的要件として、都道府県の衛生講習を経る必要があります。
営業許可を取得せずに営業を開始した場合、営業停止や罰則の対象となります。
項目 | 詳細 |
---|---|
申請先 | 店舗所在地を管轄する保健所 |
許可の種類 | ・飲食店営業許可(一般的な飲食店) ・喫茶店営業許可(酒類・調理を伴わない場合) |
有効期間 | 5年間(都道府県により異なる場合あり) |
再取得が必要な場合 | ・営業者の変更 ・施設の大幅な改装 ・移転 |
営業開始可能日 | 保健所の実地検査に合格し、許可証が交付された日から |
施設基準の項目 | 内容 |
---|---|
調理場の構造 | 清潔で仕切られており、手洗いや換気設備があること |
手洗い設備 | 調理場と客用にそれぞれ設置が必要(温水機能付きが望ましい) |
冷蔵・冷凍設備 | 適切な温度管理が可能なもの |
洗浄設備 | 2槽式シンクや食器洗浄機の設置が必要 |
害虫等の対策 | 出入口の網戸設置、排水口の蓋など |
分類 | 書類名 | 補足内容 |
---|---|---|
申請書類 | 営業許可申請書 | 保健所で配布またはダウンロード可 |
営業施設の図面 | 厨房・客席・手洗い等の構造を明記 | |
食品衛生責任者の資格証明書 | 講習修了証や栄養士・調理師免許証など | |
その他 | 水質検査結果(井戸水使用の場合) | 賃貸借契約書やゴミ処理業者との契約書 |
使用する器具備品の一覧 | 保健所によっては省略可 |
食品衛生責任者について
飲食店を営業するには、各店舗に1人以上の「食品衛生責任者」を配置する必要があります。
これは、店舗の衛生管理の責任を担う立場であり、調理師・栄養士などの資格を有していない場合は、所定の講習を受講して取得します。
東京都などでは、オンライン講習での取得も可能になっています。
営業施設の図面について
営業許可の申請には、厨房や客席など店舗全体の構造がわかる「図面」を添付します。不動産賃貸契約の際などに受け取った図面があれば、それをもとにして寸法や設置設備を書き加えていくような作成も可能です。
図面には、調理場、手洗い場、トイレ、食器洗浄機、冷蔵庫などの配置を明確に記載し、衛生管理が適切に行える構造であることを示す必要があります。
また、施設の位置が分かる地図や、施設内の設備(証明・シンク・消火設備等)を説明する表も添えておきます。
保健所では、必要な設備の有無と寸法に注意を払いながら、設備や動線の基準に合っているかを確認します。
消防検査について
1: 図面・設備の確認(事前準備)
開業前の設計段階で、店舗の内装や厨房設備に関する消防設備の要否を確認します。
2: 消防関係の書類提出
店舗の使用開始や設備の設置にあたって、消防署へ必要な届け出を行います。
建物の規模や業態によって、必要な書類が異なるため、事前に消防署で確認しましょう。
3: 現場検査
書類提出後、消防署による現地検査が行われます。
問題がなければ、消防面での準備は完了となります。
防火管理者の選任が必要な場合
飲食店において防火管理者の選任が必要となるのは、客席や従業員を含めた収容人数が30人以上となる場合です。
また、ビルの一部を借りて営業する場合でも、建物全体が防火対象物であれば、テナント単位での対応が求められることがあります。
このような施設は「特定防火対象物」に分類され、火災を予防するために、甲種または乙種の防火管理者を配置する必要があります。
防火管理者の資格は、甲種(2日間)・乙種(1日間)いずれも所定の講習を受講することで取得できます。
講習の受講方法は自治体によって異なり、消防局が主催するもののほか、外部団体が実施するオンライン講習など、さまざまな形式があります。

民泊・簡易宿所事業
民泊の営業許可
住宅を活用する民泊には、「住宅宿泊事業法」(自宅民泊型)によるものと「旅館業法」(ゲストハウス型)によるものの、2パターンがあります。
申請窓口は、「住宅宿泊事業法」で進める場合には都道府県になり、「旅館業法」の場合には保健所となります。
いずれの場合にも、設備面での物的要件が問われます。旅館業法に基づいて簡易宿所の許可を得る事の方が、ハードルは高いのですが、初めから対象物件が旅館業法の要件を満たしているような場合は、検討対象になります。
項目 | 住宅宿泊事業法(自宅民泊型) | 旅館業法(ゲストハウス型) |
---|---|---|
制度の種類 | 届け出制 | 許可制 |
営業可能日数 | 年間180日以内 | 制限なし |
届け出・許可先 | 都道府県等 | 保健所(都道府県等) |
主な要件 | 自主管理か管理業者との契約 | 建築・消防などの基準を満たすこと |
利用できる建物 | 住宅 | 条件を満たせば住宅も可 |
主な用途地域制限 | 比較的柔軟(住宅地でも可能) | 商業地等でないと難しい |
共通の主な物件要件 |
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制度ごとの物件要件 |
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住宅宿泊事業法(自宅民泊型)の概要
住宅宿泊事業法(いわゆる自宅民泊)に基づいて営業を行う場合、原則としてその住宅には届け出をする本人が実際に居住している必要があります。
この「居住」とは、住民票の有無だけでなく、実際に生活の本拠として使用されていることを意味し、単なる空き家や長期間不在の物件は原則として対象外とされます。
しかし、実際には出張や一時帰省などで一時的に不在となる住宅を貸し出すケースも増えており、制度上もそれに対応するルールが整えられています。
住宅宿泊事業の許可要件には、住宅の使用実態が確認できることが必要であり、用途や管理の方法によっては旅館業法の許可が求められる場合もあります。
- 住民票がその住所にあり、本人または家族が実際に普段から居住していることが前提です。
- この場合、届け出者=居住者であることが多くなります。
- 届出のみで住宅宿泊事業が可能です(年間180日以内)。
居住者が常時居住している住宅
- 例:出張や帰省などで一時的に不在にする期間中のみ貸し出すケース。
- 家具の設置やライフライン(電気・ガスなど)の使用状況など、住宅として機能していることが必要です。
居住者が一時的に不在となる住宅
- このパターンでは通常、住宅宿泊事業法の対象外となります。
- 住居としての利用実態がない場合、「住宅」とは認められません。
- 旅館業法に基づく許可(簡易宿所など)が必要です。
本人も家族も住んでいない住宅
自宅型民泊の届け出手続き
自宅型民泊は個人を対象とした制度であるため、手続きも簡易になっています。
届け出をしてから届け出番号取得までにかかる時間も、概ね1週間~2週間程です。
また、一部自治体はオンラインの届け出も受け付けています。
住宅宿泊事業を行うには、事前に施設の用途地域や構造、マンションの場合は管理規約などを確認しましょう。また、条例の制限等もある為、各自治体や窓口への事前相談と確認を行います。
- 用途地域の確認(住居地域が対象)
- マンション管理規約(民泊禁止規定がないこと)
- 図面や間取りの準備
都道府県または市区町村に対して住宅宿泊事業の届出をオンラインまたは書面で提出します。
- 住宅宿泊事業届出書
- 使用する住宅の図面
- 住宅の使用権限を示す書類(登記事項証明書、賃貸借契約書等)
- 本人確認書類(住民票など)
- 誓約書(反社会的勢力でない旨など)
- 近隣住民への説明資料(自治体によって必要)
提出書類に不備がなければ、住宅宿泊事業の届出番号が交付され、宿泊サービスの提供が可能になります。
- 届出完了通知(オンラインまたは郵送)
- 事業者番号(サイト掲載や標識に使用)
届出番号入りの標識を玄関等に掲示し、民泊運営を開始します。また、営業に関しては、180日以内の運営日数や宿泊者情報の記録等守が求められます。
- 標識(国のフォーマットによる)
- 宿泊日数の管理体制
- 宿泊者名簿の作成
- 緊急連絡体制(騒音・苦情対応)
自宅型民泊の物件面の要件
旅館業法による申請に比べると、物件面での要件は緩やかになっています。
一方で、マンション等の区分住居に関しては、管理組合規約や賃貸借契約等で、民泊自体が行えないという場合が多いです。
この部分は、届け出時の確認項目でもあります。また、届け出を行わずに民泊事業を行った場合は行政罰の対象となります。
施設基準の項目 | 内容 |
---|---|
住宅であること | 居住実態のある、または居住可能な状態にある住宅 |
衛生設備 | 浴室、トイレ、洗面所等の設備が清潔に保たれていること |
騒音防止措置 | 防音措置や利用ルールの周知が行われていること |
避難経路の確保 | 避難経路や非常口の表示、消火器の設置など |
管理体制 | 宿泊者対応を行う体制が整っていること(電話対応・苦情対応等) |
※ 管理体制は代行業者に依頼する事も可能です。また、住居としての居住実態が問われるので、対象となるのはあくまで「住居や住宅」となります。 |
分類 | 書類名 | 補足内容 |
---|---|---|
届出書類 | 住宅宿泊事業届出書 | インターネットで電子申請可能な自治体もあり |
建物の図面・間取り図 | 寝室・玄関・避難経路の明記が必要 | |
本人確認書類 | 運転免許証や住民票等 | |
その他 | 管理規約や賃貸借契約書の写し | 区分住居では管理規約の確認は必須。賃貸物件では更に物件所有者の同意も必要。 |
管理業務受託契約書 | 管理委託する場合に必要 |
旅館業法簡易宿所(ゲストハウス型)の概要
旅館業法に基づく、簡易宿所営業には、最初に用途地域の制限や近隣住民との調整が必要となります。
申請手続きも、窓口となるのは保健所ですが、実際には消防署や自治体の建築指導課など複数の行政機関との調整が必要となります。また、設備面では、共用トイレや洗面所の数、玄関帳場の設置、消防設備の整備など多数の制約がかかります。
これらのハードルの高さから、年間の申請件数は全国で約3,000件にとどまり、実際に開業に至るのはその約7割程度とされています。
旅館業法に基づく簡易宿所として営業を行うには、保健所への事前相談や施設検査など、複数の手続きを経る必要があります。
今ある物件を活用する自宅型民泊とは異なり、簡易宿所を行う事を目的として物件を探すという事になり、費用面の負担や、事業計画なども高度な内容が求められます。
それに、加えて、申請手続きもハードルが高いものになっています。
簡易宿所の申請手続き
簡易宿所の営業許可の場合、施設が用途地域や建築基準、設備基準に適合している場合には、申請もスムーズに進む可能性が高いですが、そうでなければ許可は降りません。
実際に動き出す前に、行政機関への事前相談と確認を繰り返し行う必要があります。
保健所や消防署との調整や、必要な設備(トイレや浴室の設置基準など)を備えられるかなどの部分が鍵になります。
申請前に、地域の保健所や自治体窓口へ事前相談を行い、施設の図面や建築・消防基準への適合状況などを確認します。
- 平面図・配置図(施設の概要がわかるもの)
- 建築確認済証・検査済証(または用途変更確認書)
- 消防関係図面(避難経路や警報設備など)
- マンション等の場合は管理規約の確認
必要書類を整え、施設を管轄する保健所に旅館業営業許可申請書を提出します。
- 旅館業営業許可申請書
- 営業施設の図面(平面図・設備配置図)
- 建築基準法適合証明書または確認通知書
- 消防法適合通知書(事前に消防署で取得)
- 水質検査成績書(井戸水使用時)
- 食品衛生責任者資格証(調理提供がある場合)
- 登記簿(法人)または住民票(個人)
保健所による現地調査が行われ、以下の基準が満たされているか確認されます。
- 換気・採光・排水などの衛生設備の整備状況
- 洗面・トイレ・浴室の衛生基準適合
- 寝室の広さと宿泊可能人数
- 防火設備(火災報知器、消火器など)の設置
検査を通過し営業許可証が交付されたら、簡易宿所として営業を開始できます。
- 営業許可証(施設内に掲示)
- 宿泊者名簿の備え付け
- 衛生管理計画書の作成(自治体により義務)
簡易宿所の設備面の要件
簡易宿所の申請では、客室の広さ、換気設備、洗面設備、トイレの設置など、宿泊者の安全と衛生を確保するための基準要件を満たしているかが細かく審査されます。
これは、宿泊者の安全や衛生を守ることに加え、近年増加している住宅やオフィスから簡易宿所への用途変更に対応し、宿泊施設としての質の低下を防ぐことも目的としています。
許可の要件は、地域によって条例や運用が異なるため、実際には各自治体(市区町村や保健所)ごとに確認を行う必要があります。
項目 | 要件内容 |
---|---|
客室(寝室) |
・1人あたり約3.3㎡以上の面積が目安 ・換気・採光・排湿が可能な構造 ・独立した出入口が望ましい ・2段ベッド使用時は上下段の間隔1m程度 |
衛生設備(水回り) |
・宿泊人数に応じた洗面・トイレ設備の整備 ・洋式水洗トイレが望ましい ・入浴設備には換気設備が必要 |
防火・避難設備 |
・火災報知器、消火器の設置 ・避難経路の明示と非常口の確保 |
管理体制 |
・苦情や緊急時の対応が可能な管理体制 ・宿泊者名簿の整備と衛生管理体制の用意 |
※ 法人事業主・個人事業主問わず、営業許可要件を満たしているか確認されます。 |
簡易宿所の申請に必要な書類
旅館業法に基づく簡易宿所の申請では、構造や設備などの「物的要件」が主に審査対象となります。
しかし、施設の管理体制や運営方針といった「人的要件」や、事業の継続性を示す「経営の安定性」についても、審査の信頼性を高める材料となります。
たとえば、安全衛生管理のマニュアルや、トラブル防止のために行った近隣住民への説明記録などの資料は、任意提出であっても評価につながる場合があります。
申請書類の整備に加え、これらの補足資料を用意することで、よりスムーズな営業許可取得が期待できます。
分類 | 書類名 | 補足内容 |
---|---|---|
申請書類 | 旅館業営業許可申請書 | 保健所へ提出する主要書類 |
施設の図面(平面図・配置図) | 客室・浴室・避難経路等が記載されたもの | |
建築・消防関係書類 | 建築確認済証、消防法適合通知書など | |
その他 | 食品衛生責任者資格証 | 調理提供を行う場合に必要 |
住民票・登記簿 | 申請者の属性により提出(個人or法人) |
日本政策金融公庫の融資

融資の種類
小規模・中小企業向けの融資
日本政策金融公庫(政策公庫)は、民間の金融機関では対応が難しい中小企業や創業者に対して、低金利かつ長期の融資を提供する政府系金融機関です。
特に創業支援に力を入れており、「新創業融資制度」や「女性・若者・シニア起業家支援資金」など、創業間もない事業者でも利用しやすい制度が整っています。また、事業の成長段階や目的に応じて「普通貸付」「生活衛生貸付」「災害貸付」などのメニューがあり、飲食業・宿泊業・製造業など業種特有のニーズにも対応可能です。
設備投資、運転資金、借換資金など用途ごとの対応も柔軟で、金利や返済期間も比較的優しい設計となっています。信用保証協会の保証を必要としない融資もあり、保証料の負担がない点も魅力です。
融資制度名 | 対象者 | 主な用途 | 特徴 | 主な条件 |
---|---|---|---|---|
新創業融資制度 | これから創業する人、創業後税務申告2期以内の人 | 設備資金、運転資金 | 無担保・無保証人で借入可能 |
融資上限:3,000万円(うち運転資金1,500万円) 返済期間:運転資金7年以内、設備資金20年以内 利率:年1.5〜2.5%程度(実績・時期により異なる) |
女性・若者・シニア起業家支援資金 | 女性、35歳未満、55歳以上で創業予定・間もない人 | 創業資金全般 | 特別な支援金利が設定されることもある |
融資上限:7,200万円(うち運転資金4,800万円) 返済期間:運転資金7年以内、設備資金20年以内 利率:年1.0%台もあり(要件による) |
普通貸付 | 中小企業者全般 | 運転資金、設備資金、借換資金など | 幅広い事業用途に対応 |
融資上限:7,200万円(うち運転資金4,800万円) 返済期間:運転資金5年以内、設備資金15年以内 利率:年1.5〜2.5%程度(事業内容・実績による) |
生活衛生貸付 | 飲食・理美容・旅館など生活衛生業者 | 店舗改装、設備購入、運転資金 | 生活衛生同業組合の推薦があると金利優遇あり |
融資上限:1,500万円〜7,200万円(事業規模による) 返済期間:運転資金7年以内、設備資金20年以内 利率:年1.2%〜(推薦ありの場合、さらに低利) |
日本公庫の融資の全体像
政策公庫が融資の対象とするのは、主に創業時や資金繰りが困難な中小企業・個人の事業者です。公庫は利益追求よりも公益を優先し、民間銀行とは異なる立場から融資を行うという事もあり、女性やシニアの起業家などにとっては、銀行融資よりも利用がしやすいものとなっています。
事業者を後押ししています。
また、政策公庫の融資と市中銀行の事業融資の双方を受けて資金を用意するという事業者の方もいます。
部門名 | 融資残高(億円) | 構成比 |
---|---|---|
国民生活事業 | 112,120 | 約42.9% |
中小企業事業(融資業務) | 78,863 | 約30.2% |
農林水産事業 | 36,852 | 約14.1% |
危機対応円滑化業務 | 32,756 | 約12.5% |
特定事業等促進円滑化業務 | 810 | 約0.3% |
各部門の概要 | ||
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政策公庫審査の準備
創業計画書
創業計画書は、日本政策金融公庫などの創業融資を受ける際に、融資担当者が最も読み込む書類の一つです。
就職活動における履歴書のように、事業者自身の経歴や計画を簡潔にまとめた書類ではありますが、内容の整合性や、事業の目的、収支の見通しについて、説得力が備わっているかなど、融資の可否を左右するポイントがいくつも含まれています。
添付資料や面談時の説明と創業計画書の記載内容に矛盾があると、計画全体の信頼性が損なわれます。他の書類で創業計画書の不足部分を補うというより、他の書類で説明した内容を創業計画書にまとめこむという構成にして、書類と説明内容との整合性を保つようにします。
-
創業の動機(約300〜400文字)
- 事業を始める理由(社会への貢献性と、創業の必然性)
- 自身の経験や強みと事業の関係(何を活かすかの説明)
- 事業を行う上での理念(社会的なニーズや課題解決)
-
経営者の略歴
- 氏名・年齢・学歴・職歴
- 関連のある職歴やスキルを重点的に記載
- 同業経験がある場合は、勤務先の規模や役割も記載
-
取扱商品・サービス(約300〜400文字)
- プロダクトやビジネスモデルの内容
- 商品サービスのPR部分や特徴点・市場での優位性
- 販売手法(店舗・ネット・訪問など)
-
取引先・取引条件等(約200〜300文字)
- 主な販売先(BtoC/BtoB)
- 仕入先とその条件(掛け率・納期など)
- 支払いサイト(期日)や契約状況も含む
- ※未定の部分は想定(調査や交渉状況等をベース)を記載
-
従業員(約100〜200文字)
- 創業時の従業員の有無
- 雇用予定人数や職種
-
借入の状況(約150〜250文字)
- 既存の借入状況(事業用・個人用)
- 金融機関名、残高、返済状況など
-
必要な資金と調達方法(約200〜300文字)
- 設備資金・運転資金の明細
- 自己資金と借入額の内訳
- 返済原資の見通しと妥当性
-
事業の見通し(売上・利益計画)(約300〜400文字)
- 1〜2年目の売上・原価・経費・利益の計画
- 月別または年別の形式が一般的
- 根拠(客数・単価・回転率など)の説明も必要
- ※事業計画書との整合性が必要。根拠は別紙で説明。
-
自由記述欄(補足事項)(〜200文字)
- アピールしたい点や補足説明
- 協力者、業界ネットワークなどについて。
自己資金等
自己資金は、事業主がどれだけ自分の事業に投資し、リスクを取れるかを数値化したものです。
自己資金の割合が高いほど融資審査に有利に働きます。自己資金は事業主の財務状況や資金調達能力など様々な要素を反映する鏡でもあり、金融機関はこれを通じて融資のリスクを評価します。
自己資金が少ない場合、融資の審査は厳しくなります。
また、経験値は対象の業種により異なる乗数効果を持ちます。過去の実績や業界経験が豊富であれば、事業運営に対する信頼が得やすくなりますが、それに加えて、この点は経営未経験者にとっては、創業理由や事業計画につながる鍵の一つとなります。
自己資金は融資希望金額の2割~3割程度が望ましいです。また、どのようにして自己資金を調達したかについても確認されます。
項目 | 内容 |
---|---|
通帳の提示方法 |
・創業資金として積立てた通帳を提出 ・表紙、1ページ目(口座情報)、入出金履歴(6ヶ月〜1年分)が必要 ・ネットバンクの場合はPDFや画面キャプチャで対応可 |
自己資金にカウントされる条件 |
・給与や事業所得など、定期的・計画的な積立があること ・本人名義の口座で管理されていること ・贈与や借入ではない資金であること(証明が必要) ・過去数ヶ月にわたって貯蓄の履歴があること |
カウントされにくい資金 |
・直前に一括で入金された資金(不自然な入金) ・家族・知人からの贈与(証明書がなければ自己資金と見なされない) ・現金で保管していた資金(通帳に履歴がない場合) |
補足ポイント |
・定期的な貯蓄履歴は、資金管理能力の証明にもなる ・複数口座の合算も可能だが、それぞれに明細を添付する ・金融機関によっては残高証明書も併用可 |
計画から融資実行まで
政策公庫の融資を検討してから融資実行までの期間は、通常 1ヶ月〜2ヶ月程度 とされていますが、融資の規模や申請内容、書類提出のタイミングによっては、それ以上かかることもあります。
融資申請が順調に進めば、2週間程度で融資が決定する場合もありますが、追加資料の提出を求められることもあります。
資金の入りを確認するより詳細な収支計画書や、資金の出を確認する設備の見積書等は比較的追加提出を求められることが多い書類ですので、これらの書類は最初から入念に準備したものを提出した方が、審査は順調に進みます。
事業アイデアや業種を整理し、必要な資金や収支計画を考えます。創業の動機や強みもここで明確にします。
政策金融の創業融資制度を調べ、要件や必要書類を確認します。また、事前に支店での相談を受けます。
「創業計画書」「通帳のコピー」など必要書類を準備し、申込書一式を提出します。
- 借入申込書(政策公庫の所定フォーム)
- 創業計画書(政策公庫の所定フォーム)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 事業用資金の使い道がわかる見積書(設備資金の場合)
- 事業用の賃貸契約書(店舗・事務所を借りる場合)
- 通帳コピー(過去6か月分程度、自己資金確認のため)
- 税務署の開業届(提出済みなら)
- 営業許可証や資格証の写し(業種により必要)
政策公庫の担当者と面談(30分ほど)を行い、事業内容や資金計画について説明します。
- なぜこの事業を始めようと思ったのか(創業の動機)
- 今までの職歴やスキル、経験について
- 提供する商品・サービスの特徴や差別化ポイント
- 自己資金の金額とその貯め方(通帳での裏付け確認あり)
- 売上・利益などの見通し(マーケティング方法を含む)
- 借入金の返済原資(収益や資金繰りの財務計画)
- 店舗や仕入れの準備状況、賃貸契約書や見積書の有無
審査結果が通知され、融資が実行されます。通常は申込から1ヶ月前後で実行されることが多いです。

事業融資の概要
事業融資の目的
事業融資は、すでに事業を営んでいる企業や個人事業主に対して、事業資金を提供するための融資です。
既存の事業運営に必要な資金(運転資金、設備資金、借換資金など)を調達することを目的としています。これにより、事業の継続や拡大を支援し、経営安定性の確保を図ることができます。
事業融資を受けるには、事業計画書や過去の財務諸表、返済能力などの実績に基づいて審査が行われます。融資を受けるためには、事業の安定性や将来性を客観的に分かりやすく伝えるようにします。
-
対象者
- すでに事業を営んでいる法人・個人事業主
- 過去の決算書や経営実績に基づき審査が行われる
-
融資額と期間
- 融資額は、事業の規模や必要資金に応じて設定される
- 融資期間は、通常3年から10年程度(条件により異なる)
- 設備資金と運転資金で融資条件が異なる場合がある
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必要書類
- 過去3期分の決算書(法人の場合)または確定申告書(個人事業主の場合)
- 事業計画書、資金繰り表、借入金明細書
- 事業用の設備見積書や賃貸契約書(設備資金の場合)
-
審査基準
- 事業の安定性と将来性が重視される
- 事業計画の実現可能性、返済能力が審査のポイント
- 過去の業績、自己資金、返済履歴が審査に影響する
-
返済計画
- 返済原資は、売上や利益に基づいて作成された収支計画から算出される
- 借入金の返済計画に具体的な数字と期間が必要
審査から融資実行まで
事業融資の審査から融資実行までの期間は、通常1ヶ月から2ヶ月程度です。融資の審査は、事業計画書や過去の実績、財務状況などに基づいて行われます。
書類の準備が整っていれば、比較的短期間で融資決定が下されることもありますが、追加資料の提出を求められる場合もあります。
事業運営に必要な資金を明確にし、収支計画を立てます。
必要書類(決算書、事業計画書など)を整理し、融資申込書を準備します。
書類一式を提出し、融資の審査を受けます。
面談が行われ、事業計画や資金計画について説明します。
審査結果が通知され、融資が実行されます。