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在留資格の全体像

日本における在留資格制度


他国制度との共通点

 多くの国では、外国人の移住や滞在を受け入れる制度を設けています。
 米国では「移民」と「非移民」に分類され、ビザも細かく分かれています。また、英国ではポイント制を導入し、技能や資格に基づいて在留資格の審査を行っています。
 外国人受け入れのルール作りは、それぞれの国が経済や社会のニーズ、文化的背景に合わせながらおこなっています。

 日本の永住資格制度は、米国の移民制度と共通点があり、永住審査には在留歴や素行などが重視されます。
 また、高度専門職制度は英国のポイント制に似ており、学歴・職歴・年収などに応じて評価される仕組みになっています。


国ごとの在留資格の違い
国名 制度の特徴 ビザ分類 取得難易度 永住への道
日本 在留資格ごとに活動内容が細かく分類されている。変更や転職には制限あり。 就労系/身分系/特定活動など約30種 やや高い 10年の在留+安定収入と素行歴で申請可能
アメリカ 移民・非移民ビザに大別。労働系は抽選やスポンサー要件がある。 非移民(H-1B等)/移民(永住権) 非常に高い 就労・家族・投資などからグリーンカード申請
イギリス ポイント制を導入し、年収・学歴・英語力を評価。制度の透明性は高い。 スキルドワーカー/学生/ビジネス等 中程度 5年間の就労等でILR(永住権)申請可能
ドイツ EUブルーカードで外国人専門人材の受入れを促進。要件が明確。 ブルーカード/一般就労/研究等 やや緩やか 33ヶ月の在留+語学力で永住許可
シンガポール 外国人労働者を広く受け入れる方針。高スキル層はEPビザが主流。 EP(雇用パス)/Sパス/ワークパーミット等 中程度 数年の就労後、永住権(PR)申請が可能
韓国 就労・結婚・投資など多様な在留資格があり、F-2ビザ等で永住への道が開かれる。 Eシリーズ(就労)/D(留学)/F(居住・結婚)など やや高い 5年以上の居住+収入・韓国語能力試験等でF-5(永住)取得可能

日本の制度の特徴

 日本の在留資格制度は、活動内容や能力に応じた多様な在留資格を設け、入国時には在留資格該当性と上陸許可基準により、国益に適うというかという視点から審査が行われます。
 期間については、1年/3年/5年の有効期限が設けられるパターンが多く、更新時には、秩序維持という社会の要請から保険料の納付状況や犯罪歴の有無等に関する相当性という基準も加わり、長期間の生活には法令順守と安定した生活基盤が求めらる仕組みになっています。
 また、技術・人文知識・国際業務の創設や、特定技能制度の導入など、日本の在留資格制度は、社会的・経済的ニーズに基づいて見直しが加えられながら運用されています。


 在留資格は以下の2つに分類されます。


活動系の在留資格: 日本での具体的な活動内容に基づく資格(例: 技術・人文知識・国際業務、技能など)。
身分系の在留資格

: 日本との身分関係(例: 日本人の配偶者等、永住者など)に基づく資格。


 審査においては、在留資格該当性上陸許可基準相当性の3つの基準が設けられています。


在留資格の審査基準
特徴 概要
在留資格該当性上陸許可基準 日本に入国・在留するには、該当する在留資格に適合する活動内容であることと、上陸基準を満たす必要があります。
就職に例えると該当性=募集職種に応募しているか/上陸許可基準=応募要件を満たしているかとなります。
相当性の審査基準 出入国管理の法令に適合しているだけでなく、日本での在留が「相当であるか」どうかも審査対象となります。
就職に例えると相当性=賞罰や懲戒処分の有無等の確認となります。
審査で重視されるポイント 過去の在留状況、納税・保険料の納付状況、素行などが審査されます。
在留資格の分類(就労系・身分系) 在留資格は、職業活動に基づく「就労系」と、家族関係などに基づく「身分系」に大きく分類されます。
特定資格の存在 特定技能や特定活動など、特定の目的や事情に応じて付与される柔軟な資格も存在しています。

国別在留資格者人数:2024年6月末

出典:出入国在留管理庁プレスリリース

国籍・地域 人数 構成比(%)
総数 3,588,956(人) --.-%
中国 844,187 23.5
ベトナム 600,348 16.7
韓国 411,043 11.5
フィリピン 332,293 9.3
ブラジル 212,325 5.9
ネパール 206,898 5.8
インドネシア 173,813 4.8
ミャンマー 110,306 3.1
台湾 67,277 1.9

在留資格にはどのようなものがあるか


適切な在留資格の選択

 在留資格は27種類あり、それぞれの資格ごとに求められる能力や経験が異なります。
 申請前に、その資格が活動内容に合致しているかどうか、またその在留でどのような活動が行えるかを検討する必要があります。
 適切な在留資格の選択が、日本での円滑な生活や就労につながります。


 在留資格は、より活動の自由度が高く、かつ取得しやすいものを選ぶのが一般的ですが、申請者個人の状況により見極めが難しくなる場合があります。
 複数の選択肢がある場合は、今就いている職種や、もともと滞在目的、将来の計画などの要素を考慮に入れながら検討を行います。


複数の要件を満たした場合の選択肢

技術人文知識国際業務特定46号配偶者等の在留資格の申請要件を3つとも満たしている場合

在留資格の選択肢 主なメリット 主なデメリット
技術・人文知識・国際業務 比較的取得しやすく、転職や派遣も可能。
更新時に長期の許可が出やすい。
業務内容が限定され、新設企業などでは取得が難しい。
特定活動46号 実務現場での就業が可能で、企業の規模も問われない。 転職や更新時に再申請が必要。許可年数が短め。
配偶者等 職種の制限がなく自由に働ける。
婚姻後の定住手続きも比較的簡単。
審査が厳しく、年数も短め。配偶者の条件も影響。

複数検討のすすめ

 在留資格は1つしか同時に申請できませんが、複数の資格の可能性を事前に検討することで、就職・転職時の柔軟性が高まり、将来的な選択肢も増えていきます。
 申請した資格が不許可でも、他の在留資格資格の要件を満たしていれば、その在留資格が許可される事もあります。


主な在留資格一覧
就労が認められている在留資格(就労系・活動制限あり)
在留資格 該当例
技術人文知識国際業務 機械工学等の技術者等、通訳、デザイナー、語学講師等
企業内転勤 外国の事務所からの転勤者
経営・管理 企業等の経営者、管理者等
高度専門職 ポイント制による高度人材
特定技能 特定産業分野(飲食・製造・建設等)の各業務従事者
技能 外国料理の調理師、スポーツ指導者等
教育 高等学校、中学校等の語学教師等
介護 介護福祉士
興行 俳優、歌手、プロスポーツ選手等

身分・地位に基づく在留資格(身分系・活動制限なし)
在留資格 該当例
永住者 永住許可を受けたもの
日本人の配偶者等 日本人の配偶者・実子・特別養子
永住者の配偶者等 永住者の配偶者、日本で出生して引き続き在留している実子
定住者 日系3世、外国人配偶者の連れ子等

就労の可否は指定される活動によるもの
在留資格 該当例
特定活動 ワーキングホリデー、特定46号等

就労が認められない在留資格(就労は資格外許可が必要)
在留資格 該当例
文化活動 日本文化の研究者等
短期滞在 観光客
留学 大学、専門学校、日本語学校等の学生
家族滞在 就労資格等で在留する外国人の配偶者、子

在留資格とビザは何が違う


在留資格は法務省/ビザは外務省

 在留資格とビザは混同されがちですが、取得時にはそれぞれ別の手続きが必要です。
 たとえ在留資格認定証明書が交付されても、ビザが発給されないケースもあり、制度の理解が重要です。


 在留資格は法務省、ビザは外務省がそれぞれ管轄しています。
 法務省は申請者の日本国内での経歴確認や出入国関係法令に沿った審査を行い、外務省は母国や国外での経歴を確認する権限を持ちます。
 在留資格もビザも本来の目的は異なるものですが、それぞれが異なる視点で審査を行う事で、問題のある人物の入国を防ぐ効果も期待できます。


入国ゲート通過後に在留カードへ

 在留資格認定証明書は海外の日本領事館で、日本への中長期滞在用のビザの発給を得る為に必要なものです。また、そこで発給されたビザは日本入国までに必要なもので、入国審査を経て在留資格が許可または不許可となった時点で役目を終えます。
 在留資格が許可された場合、多くの国際空港ではその場で在留カード(外国人登録)が発行され、その後は在留カードを法的根拠として日本に滞在することになります。
 たとえビザ免除国のパスポートを持っていても、90日を超える中長期滞在を目的とする場合は、入国前に在留資格認定証明書交付を経てからのビザ取得が求められます。


在留資格が不許可・取消される理由


在留資格|不許可の理由

 在留資格の審査は、日本での活動内容や滞在目的に応じて行われますが、すべての申請が許可されるわけではありません。
 申請内容に不備がある場合や、就労内容が資格と合致していない、学歴・職歴が要件を満たさない場合など、不許可となるケースも見られます。


 在留資格申請が不許可となった場合、出入国在留管理に問い合わせることで理由を確認する事ができます。内容を見直すことで再申請に活かすことができますが、虚偽の申請や書類の偽造が発覚した場合は再申請が困難となります。申請回数が多いと悪質と見なされるケースもあり、慎重な対応が求められます。


在留資格の取消しとは

 取得済みの在留資格が後に取り消される「取消処分」は、制度上の重大な措置とされています。活動内容が申請と著しく異なる場合や、資格外活動の繰り返しなどが主な原因です。故意性や悪質性も判断材料となり、改善の機会を経ても状況が変わらなければ、退去強制や再入国禁止につながるケースもあります。


不許可と取消しの違い
項目 不許可 取消
発生時期 申請時 在留中
主な原因 要件未達成、書類不備、虚偽申請 活動内容の逸脱、資格外活動、虚偽申請の発覚
在留資格適合性 提出書類・経歴等が資格の定める基準に適合していない 実際の活動が在留資格の定めに適合していない
在留資格相当性 法務大臣が「在留させるにふさわしい」と認めない場合 社会通念上、在留継続が不適切と判断された場合
救済措置 再申請可能 聴聞、異議申立て、行政訴訟など
影響 在留資格が得られない 在留資格の抹消、退去強制、再入国制限

在留資格が更新されない理由

 在留資格の更新が拒否されるケースもあります。主な理由は、現在の活動が許可された在留目的と一致していない場合や、素行不良・法令違反が認められる場合です。

 具体的には、収入の不安定さや納税義務の不履行、不正確な就労申告が挙げられます。また、虚偽申請歴や不正滞在との関与があると「在留資格相当性」が疑われ、審査に不利となることもあります。

 更新拒否となった場合、その原因を解消して再申請を行う事が難しい場合が殆どです。状況によって、変更申請を行える場合もありますが、通常は一度出国して、新規申請からやり直す流れになります。


在留資格によって認められる活動とは

就労可能な在留資格一覧|職種・条件・制限


職種と在留資格の関係

 日本での就労が認められる在留資格は、職種や業務内容に応じて細かく分類され、それぞれ従事できる業務範囲が厳格に定められています。たとえば「技術・人文知識・国際業務」の資格では、通訳、システム開発、商品企画などの専門職が対象となり、単純労働には該当しません。企業が外国人を雇用する際は、実際の職務内容が在留資格に合致しているかを確認したうえで採用を進めることが求められます。


活動制限の違い

 在留資格の中には、資格外活動許可を受けなくても、複数の職種や企業にまたがって働くことが可能な制度があります。その代表例が「高度専門職」です。この資格では、一定の条件のもとで副業や兼業、複数企業との契約が認められており、高度な知識や技能を持つ外国人が柔軟な働き方を実現できるよう設計されています。
 一方で、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」といった在留資格では、就労自体は可能であるものの、従事できる業務や業種に明確な制限が設けられています。外国人本人の活動内容に加え、受け入れる企業にも管理体制の整備が求められるため、制度の理解と適切な運用がカギとなります。


受入れ機関への依存度合い
在留資格 企業の関与・協力の度合い 主な企業の役割・責任
特定技能(1号) 非常に高い ・支援計画の策定・実施
・生活支援、入管への報告
・登録支援機関の選定や連携
企業内転勤 高い ・海外親会社との連携
・辞令・業務説明資料の提出
・実態に即した就労の継続
高度専門職 中程度 ・業務内容・待遇の証明
・2号移行時の実績確認支援
・特例措置に伴う確認資料の提出
技術・人文知識・国際業務 やや低い ・職務内容の適合性確認
・雇用契約や在職証明の発行
・更新・変更時の証明書類提供
経営・管理 低い(例外あり) ・本人の起業活動主体
・法人設立支援や出資者との関与
・審査で協力者が必要なケースあり

就労資格の審査基準とは

 外国人が日本で働くための在留資格を取得する際には、「在留資格該当性」と「上陸許可基準」という2つの審査基準が設けられています。これらは、入国管理局による就労資格の審査において不可欠な要素です。

在留資格該当し得
まず「在留資格該当性」とは、外国人が日本で行おうとしている活動内容が、出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められた在留資格の範囲内に収まっているかどうかを確認するものです。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格で申請する場合、その仕事が通訳、システムエンジニア、マーケティング担当など、認められた業務に該当しているかを審査されます。
上陸許可基準
次に「上陸許可基準」は、各在留資格ごとに設定された学歴や職務経験などの条件を満たしているかを確認する基準です。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、大学を卒業していることや、10年以上の実務経験を有していることなどが求められます。
 わかりやすく言えば、「在留資格該当性」はその職種が日本で就労可能な業務に該当しているかを判断し、「上陸許可基準」はその業務に必要なスキルや知識を持っているかを確認するものです。両方の基準を満たしてはじめて、適切な在留資格が与えられる仕組みとなっています。


混同注意|家族滞在と配偶者等の在留資格の違い


家族向けの異なる資格

 外国人が日本で家族とともに生活するためには、目的や家族の関係に応じた在留資格が必要です。なかでも「家族滞在」と「日本人の配偶者等(配偶者等)」はよく似た名称ですが、対象となる人物や背景には明確な違いがあります。

家族滞在
 「家族滞在」は、日本で在留資格を持って活動する外国人(たとえば「技術・人文知識・国際業務」や「留学」など)の扶養を受ける配偶者や子どもが対象となります。主たる在留資格を持つ本人が日本で活動している間に、その家族も日本で一緒に生活できるようにするための制度です。
日本人の配偶者等
 一方、「日本人の配偶者等」は、日本人、永住者、特別永住者、または定住者の配偶者や実子などが対象となります。つまり、「配偶者等」は、本人自身が日本とのつながりを持つことを前提とした在留資格であり、就労や社会活動の制限も比較的少ないのが特徴です。
 このように、同じ「家族」を対象とした在留資格でも、その資格の根拠となる配偶者の国籍や在留資格によって制度の性質が異なります。


家族滞在の制限

 家族滞在は、扶養関係が前提とされており、申請時には主たる在留者に十分な収入や居住環境があるかどうかが審査のポイントとなります。扶養される側の家族滞在資格者は、原則として就労できません。

配偶者等の特徴
 一方で、配偶者等の在留資格は、配偶者本人が日本で生活の基盤を築くことを想定したものです。この資格を持つ人は、原則として自由に就労することができ、生活面でも独立した在留資格と位置づけられています。そのため、日本での定住や永住を視野に入れた滞在がしやすいという特徴があります。


家族滞在と配偶者等の在留期間の違い

 また、在留期間にも違いがあります。
 「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」といった在留資格は、本人が独立した在留資格を持つため、配偶者が亡くなったり離婚したりした場合でも、状況に応じて別の在留資格へ変更する道が開かれています。
 一方、「家族滞在」は、あくまでも主たる在留者に従属する資格です。このため、主たる在留者が帰国したり、就労ビザや留学ビザなどの在留資格を失効・変更した場合、扶養されている家族の「家族滞在」資格も一緒に終了するのが原則です。
 たとえば、技術・人文知識・国際業務などの就労ビザを持つ外国人が帰国することになれば、その家族も日本に滞在し続けることはできません。


 申請手続き上の違いもあります。「配偶者等」は、本人の生活状況や結婚の実態確認が重視されます。一方で「家族滞在」は、主たる在留者の就労状況や収入、生活環境が審査対象となります。つまり、「配偶者等」は本人が主体、「家族滞在」は扶養者が主体の審査という考え方になります。


家族滞在と配偶者等の違い
項目 家族滞在 配偶者等
対象 在留外国人の扶養家族 日本人・永住者等の配偶者・子
在留資格の性格 従属的 独立的
就労可否 制限付き(資格外活動許可) 原則可能
永住申請の可能性 不可(単独では) 可能

 制度的には、はっきりとした区分があるものの、混同しやすい在留資格であるため、正しい申請を行わなければ、却下されることもあります。


特定技能の特徴と要件


人手不足を解消する新たな就労制度

 「特定技能」は、日本における外国人の就労制度の中でも比較的新しい在留資格で、深刻な人手不足が続く産業分野に限定して導入された制度です。2019年に創設され、介護、外食業、建設、農業、宿泊業など14の特定分野でのみ受け入れが認められています。
 この制度は、従来の在留資格とは異なり、制度設計に基づいて労働力を確保することを主目的としたものであり、個人の専門性というよりも、産業のニーズに応じて外国人の受け入れを行うという点が特徴です。
 また、「特定技能」は分野ごとに受け入れの要件が細かく設定されているます。


技能試験と支援計画

特定技能は「日本の現場で即戦力として働けるか」を審査の基準とします。そのため、技能試験と日本語試験に合格すれば資格取得が可能です。
 一方で、受け入れ企業側の責任は重くなっています。企業は外国人本人に対して「支援計画」を作成し、住居の確保や生活オリエンテーションの提供、日本語学習の支援などを行う義務があります。また、業種により業界団体の登録を得る必要があります。


加入団体と試験科目

一例

分野名 必要な業界団体への登録 外国人が必要な試験
食品製造業 食品製造業分野特定技能協議会
  • 食品製造業技能評価試験
  • 日本語能力試験N4以上 または JFT-Basic
農業 農業分野特定技能協議会
  • 農業技能評価試験(耕種農業・畜産農業)
  • 日本語能力試験N4以上 または JFT-Basic
建設業 建設分野特定技能協議会
  • 建設分野特定技能評価試験(職種別)
  • 日本語能力試験N4以上 または JFT-Basic
外食業 外食業分野特定技能協議会
  • 外食業技能測定試験
  • 日本語能力試験N4以上 または JFT-Basic
介護 介護分野特定技能協議会
  • 介護技能評価試験
  • 日本語能力試験N4以上 または JFT-Basic

 加盟義務のない団体もありますが、多くは加盟が義務または推奨されています。業界団体加盟が義務化されている業種については申請手続きに入る前に加盟を終えておく必要があります。
 また、申請者が受ける技能試験は締切日が早い場合や、受験席数が限られている場合が殆どですので、早めに準備される事が望ましいです。


就労資格から永住権まで

高度専門職の優遇措置とそのメリット


高度専門職ビザの評価基準

 高度専門職の在留資格は、学歴や職歴、年収、日本語能力などを総合的に評価する「ポイント制度」によって運用されています。合計で70点以上を獲得すると、さまざまな優遇措置が付いた在留資格が認められます。
 高い学歴や専門分野での豊富な経験がある場合、加点されやすくなるため、同じ職種でも個人によって評価に違いが生まれるのが特徴です。


 評価項目の中には、加点や減点が発生する要素も含まれています。特に年齢は30歳を過ぎると段階的に減点されていくため、申請時期によってポイントが左右されることがあります。また、年収に関しても一定の水準を下回ると加点の対象外となります。
 その為、専門性が高い職業についていても条件を満たさないケースあります。

高度専門職の家族優遇制度

 高度専門職の在留資格では、本人だけでなく帯同する家族にも優遇措置が設けられています。たとえば、配偶者は就労制限を受けずに自由に働くことができます。さらに、一定の条件を満たすことで親の帯同も認められるなど、生活面においても長期的な安定を視野に入れた制度設計がなされています。


ポイント制による優遇措置

 通常、永住許可を得るには10年以上の在留歴が必要とされますが、高度専門職の場合はこの条件が大幅に緩和されています。ポイントが70点以上であれば3年、80点以上であれば1年の在留で永住申請が可能です。これは、高度な知識や技能を持つ人材に対する特例措置として位置づけられており、短期間での永住資格取得につながる大きなメリットとなっています。なお、永住資格切り替えの審査は申請時点のポイントに基づいて行われますが、特例措置として、過去から申請時点まで高度専門職のポイント要件を満たしていた実績があれば、他の在留資格での滞在期間であっても、高度専門職としての扱いが認められる場合があります。



永住申請のポイント


永住申請に必要な3つの基本要件

 永住ビザの申請を検討する際には、法務省が定める3つの基本要件を満たしているかどうかがポイントとなります。
 この3つとは、「素行が善良であること」「独立した生計を営んでいること」、そして「原則として10年以上継続して日本に在留していること」です。
 特に就労ビザなどで日本に滞在している方の場合、10年の在留期間のうち少なくとも5年以上は就労資格に基づいて在留している必要があります。これは単に日本に住んでいるだけではなく、安定した就労や生活実績が重視されるためです。


永住許可の審査ポイント

 永住許可の審査では、継続的な収入の有無や、税金・社会保険の納付状況が大きなチェックポイントになります。一般的に、申請者本人の年収が概ね300万円以上あると、安定した生活基盤があると見なされやすくなります。ただし、扶養している家族の人数によって、求められる年収額は変動することがあります。
 また、過去5年間にわたる所得税や住民税の納付状況に加え、年金および健康保険料の支払い実績も審査の対象となります。未納や滞納がある場合、永住申請に影響が出る可能性があるため、未払いがある場合は申請前に支払いを済ませておくようにします。


永住申請における年収の目安(単身者の場合)
年収区分 審査傾向
~250万円未満 不許可の可能性が高い
250~350万円 審査により判断
350万円以上 安定収入と見なされる

永住申請に必要な在留年数

 永住申請には、原則として10年以上日本に継続して在留していることが基本要件とされていますが、すべての方に一律でこの条件が適用されるわけではありません。日本人または永住者の配偶者、定住者、さらに「高度専門職ビザ(高度人材)」を持つ方などには、滞在年数に関して特例が設けられています。
 特に高度人材ポイント制度を活用している方は、ポイントが一定基準を満たしていれば大幅に在留要件が緩和されます。たとえば、70点以上を継続して3年間保持している場合は、永住申請に必要な在留期間が3年に短縮されます。さらに、80点以上を1年間維持していれば、わずか1年の在留でも申請が認められる可能性があります。


  • 通常の申請:10年以上の在留
  • 高度人材(70点以上):3年在留で申請可能
  • 高度人材(80点以上):1年在留で申請可能
  • 日本人・永住者の配偶者:1年の結婚生活+在留で申請可

永住審査項目|過去の行動履歴

 永住許可の審査では、安定した生活実績や、過去の社会保険の加入状況だけでなく、過去の行動履歴も審査の対象になります。
 短期間で何度も転職している場合、または収入が不安定と判断されるような状況があると、審査で不利になる可能性があります。
 さらに、交通違反や軽微な刑罰歴があるケースでも、永住許可に影響が出ることがあります。これは、過去に発生した違反や罰金の履歴も確認対象となるためです。


帰化の申請のポイント


帰化と永住の制度上の違い

 帰化申請とは、外国籍の方が日本国籍を取得するために法務局へ申し出る制度です。永住権の取得とは異なり、帰化が認められると国籍そのものが日本に変わり、日本人として戸籍にも登録されます。
 この制度は、日本国憲法および国籍法に基づいて運用されており、厳密な審査が行われます。審査基準は永住申請よりも高く、継続的な日本での生活実績や安定した生計、素行の善良さ、日本語能力、さらには日本社会への適応度などが総合的に評価されます。
 帰化は単なる在留資格の延長ではなく、日本国籍取得への意思と準備が問われる制度ともいえます。


帰化申請の主な要件と特例措置

 日本で帰化申請を行う場合、いくつかの法的な基準が設けられており、それぞれの条件を満たしているかどうかが審査の対象となります。主な要件には、「居住要件」「素行要件」「生計要件」「喪失国籍要件」などがあり、総合的な観点から申請の可否が判断されます。
 中でも居住要件は、原則として5年以上継続して日本に住んでいることが目安とされており、安定した在留歴が求められるポイントの一つです。ただし、日本人の配偶者や特別永住者など、一部の申請者にはこの期間が短縮される特例も認められています。
 帰化制度は、日本での生活が一定の年数を超え、日本社会との結びつきが深まったタイミングで申請の検討が可能となる仕組みです。家庭環境や職業、居住歴などによって条件が異なるため、自身の状況に合った判断が大切になります。


帰化申請の主な要件
  • 5年以上の継続的な日本滞在
  • 安定した収入と納税実績
  • 交通違反や犯罪歴がないこと
  • 20歳以上で日本での居住が主たる生活拠点であること
  • 二重国籍を防ぐための本国国籍喪失の意志・手続き

 帰化申請は地方の法務局で行ます。その際は事前相談が必須です。

帰化申請の流れ
STEP 1

法務局への事前相談:申請可能かの確認と必要書類の案内を受けます。

STEP 2

書類収集・提出:必要書類を整え、申請書類一式を提出します。

STEP 3

面接・質問票提出:本人への面接調査や、生活状況に関する質問票への回答があります。

STEP 4

審査・本国との確認:母国との国籍調整を含む審査が行われます。

STEP 5

許可・不許可の通知:法務大臣の判断により帰化が許可されます。

STEP 6

市区町村で戸籍編成:許可後に日本の戸籍へ記載され、日本国籍を正式に取得します。


 帰化申請は相当に時間がかかる手続きで、書類提出後の審査期間は平均して6ヶ月〜1年程度です。申請者の状況や書類の不備、国籍喪失の手続き状況などにより、1年以上かかるケースもあります。

帰化手続きの所要期間目安
  • 事前相談から申請書類提出まで:約1〜3ヶ月
  • 審査期間:約6ヶ月〜12ヶ月
  • 許可通知後の戸籍登録:約1〜2ヶ月

帰化申請の不許可理由

 帰化申請が不許可になる主な要因には、税や保険の未納、軽微であっても繰り返された交通違反、虚偽の申請内容などがあります。
 特に、安定した収入の有無と素行の安定性は厳しくチェックされ、短期間での転職や借金などもマイナスに働きます。
 また、面談で日本語能力が不十分と見なされた場合も不許可となります。


申請の流れ|取得/更新/変更の手続き

COE(資格認定証)新規取得


中長期滞在に必須|COEとは

 外国人が日本で中長期的に滞在する場合、入国前に「在留資格認定証明書(COE)」の交付を受ける必要があります。
 この証明書は、日本の出入国在留管理庁が発行するもので、申請された在留資格について審査を通過し、条件を満たしていると認められたことを示す書類です。
 このCOEは、受け取り後に、先ず海外にある日本大使館や領事館でビザを申請する際に提示します。COEを提示する事によって得たビザと、このCOEの両方を所持していることにより、中長期の在留目的で日本への入国が可能になります。
 なお、この証明書は一部の例外を除き、原則として本人が日本国内にいる状態では申請・取得できません。


COE申請の流れ

 在留資格認定証明書(COE)の申請は、本人が行うのではなく、日本国内にいる受け入れ機関や代理人が手続きを担当します。
 たとえば、外国人労働者を採用する企業、留学生を受け入れる大学、あるいは日本に住む配偶者などが申請者となり、地方出入国在留管理局に必要書類を提出します。


COEのオンライン申請

 審査期間は申請内容によりますが、通常は3ヶ月程度を要します。繁忙期の場合は更に時間がかかることがあります。申請は通常オンラインで行い、発行されたURLリンクを海外にいる申請者にメール送信します。なお、オンライン申請は日本国内のIPアドレスからしか行えません。
 紙で申請することも出来ますが、この場合、紙のCOEを受け取り、国際郵便等で送り届ける事になります。
 COEの有効期限は発行から3ヶ月で、その間に入国しなければ無効になります。


COE申請から入国までの流れ
STEP 1

日本の受入機関が地方出入国在留管理局へ申請
書類不備があると審査が長引くため事前確認必須
※添付書類として理由書は必須です。

STEP 2

出入国在留管理局による審査
通常3ヶ月ほど。
在留資格の種類により期間は異なります。

STEP 3

COE交付(受入機関へメール通知か郵送)
受入れ機関は受け取り後に、申請者本人宛に転送します。
交付から3ヶ月以内にビザ申請・入国が必要

STEP 4

本人が在外日本領事館でビザ申請
現地領事館の予約・受付時間の事前確認等が望ましいです。

STEP 5

ビザ発給 → 日本入国
入国審査で入国拒否となる可能性もあります。

STEP 6

在留カード交付・マイナンバーカード登録
マイナンバーは、入国後14日以内に市区町村で手続きを行います。



更新手続きの流れ|申請方法と注意点


更新手続きの期限

 在留資格の更新は、外国人が日本での在留を継続するためにの手続きです。
 期限を過ぎると不法滞在となる恐れがあるため、更新申請は在留期限の3か月前から行うことが推奨されます。また、最終日は有効期限日ですが、その日が休日にあたる場合は、休日明けの開庁日が最終日となります。

更新申請ではないケース
更新は原則として現在の活動内容が変わらない場合に認められ、変更がある場合は「資格変更」申請が必要となります。
 転職を行っていて、仕事内容が変わっているような場合には、変更手続きに該当しないかを確認し、更新手続きで進める場合は、「理由書」を添え、転職の経緯と前職と今の職業のつながりを審査官に伝えます。


 更新手続きでは、現在の活動内容や生活状況を証明するための書類提出が求められます。下記は一般的な就労在留資格更新の必要書類です。

更新手続きの書類
  • 在留資格更新許可申請書
  • パスポートおよび在留カード
  • 雇用契約書または在職証明書
  • 住民票
  • 課税証明書・納税証明書
  • 勤務先会社の概要資料(中小企業の場合)

職務内容の変化

 就労系の在留資格を取得した場合、初回の在留期間は通常1年に設定されており、最初の更新手続きはその1年以内に行うことになります。
 就職当初は業務内容が自分に合っていると感じていても、実際に働き始めてみると、仕事内容が想定と異なっていたり、職場環境に馴染めなかったりすることがあります。また、会社側の事情や配属変更などにより、最初の申請時とは勤務条件や職務内容が変わってしまうケースもあります。
 このような場合、更新時に提出する書類がスムーズに揃わない場合があります。たとえば、仕事内容を説明する書類と実際の業務が一致しない場合や、雇用契約書の内容が変更されている場合などです。

理由書による説明
更新申請では、「引き続き在留資格に該当する活動を行っているかどうか」が審査の重要なポイントのため、必要な書類を可能な限り正確に収集し、現状を説明する理由書も丁寧かつ簡潔に(分かりやすく)まとめることが大切です。また、理由書に記載した内容を証明する資料を補完資料として添付する事も有効です。
 理由書に一貫性を持たせることで、在留資格更新の許可が得られる可能性が高まります。


審査期間と繁忙期の注意点

 在留資格の更新申請は、原則として本人が居住地を管轄する地方出入国在留管理局(入管)で行います。審査期間は通常2週間から2か月程度とされていますが、提出書類の内容や混雑状況によっては、さらに時間がかかることもあります。
 特に2月〜4月の繁忙期は申請窓口が混み合うため、早めに申請手続きを行うことが求められます。

更新審査中の滞在と活動制限
審査中に在留期限が過ぎてしまっても、審査期間中であれば、引き続き日本に滞在することができます。ただし、審査が終わるまでは資格外活動(アルバイトなど)を新たに始めることはできません。たとえ資格外活動許可を過去に得ていても、更新審査中は注意が必要です。
再申請と他の選択肢
万が一、更新申請が不許可になった場合でも、通知を受け取った日から30日以内であれば「再申請」が可能です。不許可理由は教えてもらえるため、その内容に応じて、書類の補完や説明の見直しを行い、再度の手続きを行うケースが一般的です。
 また、それでもなお在留資格を更新できない場合には、「短期滞在」への在留資格変更や、「帰国準備期間」の付与を申請することも選択肢となります。状況に応じて、可能な手続きを柔軟に検討していくのが現実的です。   


在留資格の変更が必要な場合とその対処法


必要な在留資格変更と任意の変更

 外国人が日本で活動を継続するうえで、状況の変化に応じて在留資格の「変更許可申請」が必要になるケースがあります。この申請には、「変更が義務となる場合」と「変更が任意となる場合」の2つのパターンが存在します。
 たとえば、留学生が日本企業に就職する場合や、現在の在留資格と異なる分野の職種に転職する場合は、必ず在留資格を変更しなければなりません。このようなケースで変更申請を行わずに新たな活動を始めると、「資格外活動」とみなされ、在留資格違反に該当する可能性があります。
 一方で、任意で行える在留資格の変更もあります。たとえば、年収が一定以上に達したことで「高度専門職」へ切り替える場合や、在留期間が10年を超えた後に「永住者」への申請を行うようなケースです。これらは法律上の義務ではありませんが、在留の安定性や将来の生活設計を考慮すると、前向きに検討されることが多くなっています。


在留資格の切り替え

任意的切り替え一例(一部義務的切り替え)

現在の在留資格 変更可能な有利な資格 主な条件・備考
技術・人文知識・国際業務 高度専門職(1号・2号)
永住者
定住者
日本人配偶者等
家族滞在
ポイント制や高年収で高度専門職へ
在留10年+安定収入で永住可能
日系人婚姻解消・子育て事情等で定住者に
日本人と結婚で配偶者等へ
配偶者が主資格者の場合に家族滞在へ
高度専門職(1号) 高度専門職(2号)
永住者
定住者/配偶者等
1号で3年経過後、2号に移行可(無期限・転職自由)
特例により1年または3年で永住申請可能
家庭事情に応じて変更される場合あり
永住者 高度専門職(1号・2号) 本国の親を招き入れたい場合など(例外的)
特定技能(1号) 特定技能(2号)
技術・人文知識・国際業務
永住者/定住者/配偶者等
該当分野での実務経験と試験合格が必要
学歴・職歴次第で他職種への移行も可能
結婚や在留実績により切り替え余地あり
定住者 永住者
日本人配偶者等
技術・人文知識・国際業務/高度専門職
在留安定+収入要件で永住可
婚姻関係による変更も可能
雇用形態に応じて変更されることも
日本人の配偶者等 永住者
定住者
結婚3年+在留1年などの条件で永住申請可能
離婚・死別後も子の養育等で定住資格へ変更可
家族滞在 技術・人文知識・国際業務/高度専門職
永住者/定住者
配偶者等
日本での就職により就労資格へ変更可
家族が永住・定住していれば切り替えの可能性あり
婚姻により配偶者等へも変更できる

国際結婚による在留資格の変更

 外国人が日本人と結婚した際には、それまでの「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などの就労系在留資格から、「日本人の配偶者等」へ在留資格を変更することが可能です。
 ただし、この変更は単なる在留資格の切り替えではなく、国際結婚の手続きとなります。

婚姻の実態確認に必要な書類
出入国在留管理局では、婚姻の実態を確認するために、婚姻証明書や住民票、共同生活の写真、SNSやメッセージ履歴、通話記録、生活費の送金証明など、さまざまな証拠書類の提出を求めることがあります。さらに、申請書とともに提出する「理由書」には、現在の生活状況、未来の生活計画などを、具体的かつ誠実な内容で記載する必要があります。
 また、双方が知り合った日時から現在までの期間は長い方が良いため、起点を証明する資料は可能な限り過去にさかのぼり、信頼性のあるものを用意します。


日本人の配偶者等からの変更
「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が離婚した場合、現在の資格のまま滞在を続けることはできません。離婚後も日本での生活を継続する場合には、速やかに在留資格の変更手続きを行う必要があります。
  変更先としては、「定住者」や「技術・人文知識・国際業務」などが挙げられ、希望する在留資格の種類によって提出すべき書類や審査の基準が異なります。たとえば、職業の有無や収入の安定性、日本での生活基盤や地域との関わりなど、さまざまな要素が審査対象になります。
  なお、離婚後の在留資格変更が受理されずに在留期間を超過した場合には、不法滞在となる恐れがあるため、出入国在留管理局への早めの相談が推奨されます。


環境変化時の切り替え

一例

変更前の状況 変更後の状況 必要な在留資格
大学卒業後、企業に就職 エンジニアとして就労 技術・人文知識・国際業務
日本人と結婚 日本で共同生活 日本人の配偶者等
離婚したが日本で就労継続 正社員で就労 技術・人文知識・国際業務
子を呼び寄せる 同居し学業継続 家族滞在

 在留資格の変更は、原則として日本に滞在中に行う必要があり、出国予定がある場合は、出国前に済ませるのが望ましいです。


就労資格証明書とは


適法性の証明|就労資格証明書

 「就労資格証明書」は、外国人が現在の在留資格で行おうとしている職務が、入国管理法上、適法であることを法務省が公式に証明する書類です。申請は本人または雇用予定の企業が行うことができ、発行された証明書には「現在の在留資格でこの業務に従事することは適法である」と明記されます。

就労資格証明書の活用方法
この証明書は、企業が外国人を採用する際に「その業務内容が在留資格に適合しているか」を確認するための判断材料となるほか、転職の際に職務内容が大きく変わらない場合にも提出することで、スムーズに採用が進むケースが多くあります。
 また、在留期間の更新や永住許可申請などの際には、過去の就労活動が適法であったことを示す根拠として使われることもあり、信頼性の高い補足書類として活用されています。
 就労資格証明書の申請は義務ではありませんが、転職後に在留資格との不一致で問題が生じるリスクを回避する手段として、制度の活用を検討する外国人就労者や企業は増えています。


就労資格証明書の申請書類
  • 就労資格証明書交付申請書
  • 在職証明書(勤務先が発行)
  • 雇用契約書または辞令の写し
  • 会社概要(パンフレットや登記簿謄本)
  • 在留カードの写し
  • パスポートの写し(写真・査証ページ)

就労資格証明書の申請手続き

 就労資格証明書の申請は、最寄りの地方出入国在留管理局で手続きが可能です。申請手数料は無料で、比較的手軽に申請を進めることができます。
 審査にかかる期間は通常2週間から1ヶ月ほどですが、提出書類に記載漏れや不備がある場合は、審査が長引くことがあります。特に、申請書に記載した職務内容と、実際の業務内容が大きく異なると判断された場合には、証明書は交付されません。
 業務内容を正確に反映した書類を提出することで、よりスムーズに審査が進み、証明書の取得につながりやすくなります。申請前には、雇用契約書や職務内容説明書などを用意しておきます。


就労資格証明書が必要なケース
ケース 証明書取得の必要性 備考
転職後に業務内容が類似 取得推奨 適法性の確認のため
業務が変更された 必須ではないが取得が有利 後の更新や永住申請で有効
雇用主側が確認を希望 取得必要 企業の法務対策の一環

一時出国手続きについて



再入国許可|みなし再入国許可との違い

 外国人が一時的に日本を離れる場合には、「再入国許可」または「みなし再入国許可」のいずれかを利用する必要があります。これらの手続きを適切に行うことで、現在の在留資格を保持したまま、再び日本に戻ることが可能になります。
 みなし再入国許可は、出国から1年以内に帰国する予定があり、かつ有効な在留カードとパスポートを所持している場合に限り、出国カードにチェックを入れるだけで利用できます。
 一方、出国期間が1年を超える予定がある場合や、みなし再入国の条件を満たさない場合は、地方出入国在留管理局で事前に通常の再入国許可を取得する必要があります。
 出国前にこれらの手続きを行っていないと、再入国時に在留資格が失効してしまいます。とくに日本への再入国がいつになるか分からない場合や、長期間の日本出国を予定している場合は、通常の再入国許可を選ぶケースもあります。


みなし再入国と再入国許可
項目 みなし再入国許可 再入国許可
申請手続き 不要(空港で申告) 事前に出入国在留管理局で申請
有効期間 原則1年 最長5年(資格による)
対象者 中長期在留者(在留カード保有) 全ての在留資格者

再入国後の在留資格失効

 みなし再入国許可や通常の再入国許可を利用して出国した外国人が、予定していた1年以内に再入国できなかった場合、原則として現在の在留資格は失効扱いとなります。これは、再入国制度に基づき、在留資格の維持には期限内の帰国が前提とされているためです。
 在留資格が失効してしまった場合には、日本への再入国は基本的に認められず、あらためて「在留資格認定証明書(COE)」の取得から手続きをやり直す必要があります。これは、そのまま母国に帰国し、再入国を目指す流れとなります。

やむを得ない事情による柔軟対応
ただし、自然災害や本人や家族の重病など、やむを得ない事情によって帰国ができなかったと認められる場合には、状況に応じて柔軟な対応がなされることもあります。このようなケースでは、再入国後に出入国在留管理局へ事情を説明し、在留資格再取得の相談を行うことになりますので、証明資料を携帯して入国するようにします。
 なお、在留資格が失効した状態では、ビザ免除措置の対象国以外の出身者は、日本への入国そのものが難しくなる点に注意が必要です。


再入国時の在留資格の再有効化

 みなし再入国許可を利用して日本を一時的に離れた場合でも、帰国時に空港で在留カードを提示することで、元の在留資格が再び有効となります。ただし、出国中であっても在留期間のカウントは進んでいるため、再入国時点で在留期間が残っていることが条件です。
 更新手続きの審査期間中でも一時出国は可能ですが、もともとの在留期限から2カ月経過するまでに日本に再入国する必要があります。


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